AIを使った制作で、前回と似た修正をまた伝えている。動画の字幕が料理とずれている。必要な調理音が消えている。ページでは、確認していない説明がいつの間にか本文に入っている。

その都度直すことはできます。ただ、修正の理由が次の制作へ渡らなければ、同じ確認を繰り返すことになります。

インテグロースでは、自社メディアの動画編集で出た修正を制作マニュアルに整理し、次の制作前に参照するルールを作りました。LP制作にも、事実の整理から完成画面の確認までを扱うマニュアルがあります。この記事では、修正指示を、AIが次回使える制作基準に変える方法を二つの実例から紹介します。

動画編集で、実際に修正したこと

自社のグルメ動画の編集では、料理の映像、縦のテロップ、ナレーション、下部字幕を組み合わせています。テンポを変えるために映像を切り直すと、説明の位置も合わせ直す必要があります。

実際の編集で修正したのは、料理が切り替わった後に前の料理の説明が残る箇所でした。見た目の配置が整っていても、視聴者には違う料理の説明として伝わってしまいます。そこで最終動画を見ながら、料理と字幕の対応を確認し、位置を直しました。

別の修正では、撮影時の現場音を残しました。動画を短く、声を聞き取りやすくする作業の中で、調理や店内の音まで消してよいわけではありません。元の音を戻し、ナレーションを邪魔しない聞こえ方へ調整しました。

これらは「もっとよい動画にする」という抽象的な依頼より、次の制作にも引き継ぎやすい判断材料です。

実際の修正 理由として残すこと 次回に確認すること
料理の切替に字幕を合わせる 別の料理の特徴として誤って伝わるのを防ぐ 映像・字幕・音声が同じ対象を説明しているか
現場音を戻し、声との聞こえ方を調整する 料理や店内の体験を伝える音を残す 音声の有効・無効と、実際の聞こえ方
短いカットと見せ場の長さを調整する テンポと料理を見せる時間を両立する 短くしすぎて伝えるものを失っていないか

修正の文面を、そのまま全案件のルールにしない

当社の動画マニュアルには、カットの長さ、声の速度、文字の見せ方など、自社メディアに合わせた設定もあります。しかし、その数字をすべての食品ブランドへ当てはめることはしません。

共通化したいのは、映像と説明を一致させること、必要な音を確認すること、商品情報の事実を確かめることです。声や書体、テンポは、ブランドや媒体の目的に合わせて決める部分です。

一度の修正からルールを作るときは、「どの制作でも必要か」「このブランドだけか」「今回の素材だけか」を分けます。適用範囲が分からないマニュアルは、別の案件で不要な修正を増やすことがあります。

LP制作では、事実と仮説を分けてからページを作る

LPの制作マニュアルで重視しているのは、ページに書ける事実と、まだ確認していない案を分けることです。商品の特徴、価格、販売条件、写真の使用範囲などを整理してから、構成やコピーを作ります。

「この商品は忙しい朝に向いているのではないか」という企画上の仮説と、「電子レンジで何分加熱する」という商品情報では、根拠の種類が違います。AIには両方を渡せますが、同じ確かさで本文へ書かせてはいけません。

また、完成したページは、文字だけでなく画面で確認します。スマートフォンで見出しが不自然に切れていないか、文字が重なっていないか、商品情報から次の行動へ移れるか。マニュアルには、こうした確認を行う基準があります。

当社のLPの品質確認は六つの領域で評価し、点数だけでなく重大な問題が残っていないことも条件にしています。この基準は当社の制作管理のためのもので、点数が高ければ販売成果が保証されるという意味ではありません。

動画とLPに共通する考え方 動画での確認 LPでの確認
元の情報と一致しているか 料理名・映像・説明の対応 商品情報とページ本文の対応
実際の完成物で確かめるか 最終動画の映像と音声 完成ページの表示と操作
案件固有の条件を分けるか 声・書体・テンポ ブランド表現・販売条件・案内先
次回も参照できるか 編集前に制作基準を読む 企画・制作・確認の各工程で基準を読む

修正をマニュアルへ変える、五つの項目

修正指示を保存するだけでは、AIが次回何をすべきか分からない場合があります。当社の事例から、次の五つを一組で残すことをおすすめします。

  1. 起きたこと。 完成物のどこに、どんな問題があったか。
  2. 理由。 読者・視聴者の理解や、制作条件にどんな影響があるか。
  3. 制作ルール。 次回はどう作るか。
  4. 適用範囲。 全案件、特定ブランド、特定形式のどれか。
  5. 確認方法。 誰が、何を見れば条件を満たしたと判断できるか。

字幕の例なら、「料理が切り替わったら字幕を消す」だけでは不十分です。料理をまたいで共通の説明をする場合もあるからです。「説明の対象と映像の対応を確認し、違う対象に見える場合は時間位置や文面を直す」としておくと、目的を保ったまま判断できます。

一度の修正を、次回の制作へ渡す

  1. 完成物で問題を見つける映像・本文・表示・音声を確かめる
  2. 直す理由を整理する読み手への影響と適用範囲を残す
  3. 作るルールに変える次に取る行動を具体的に書く
  4. 確認項目にする合否を判断できる見方を添える
  5. 次回の制作前に参照する使った版を残し、新しい修正を更新する
マニュアルを保存するだけでなく、制作のどの工程で読むかまで決めます。

AIが使える場所に置き、毎回参照する

マニュアルを作っただけで、AIが以後すべての仕事で自動的に覚えて使うわけではありません。新しい制作では、参照する資料として明示し、個別の依頼条件と合わせて渡す必要があります。

当社では、動画マニュアルの作成後に追加調査を反映し、次回の制作時に参照するルールも整えました。LPでも、作業の入口から企画、制作、品質確認へ、必要な資料を参照する流れにしています。

依頼する際には、たとえば次のように書けます。

制作マニュアルと今回の商品情報を参照し、今回に適用する基準を確認してから制作してください。案件固有の条件と共通基準を分け、完成後は映像・本文・表示などの実際の出力で確認してください。不明な商品情報は補完せず、確認事項として残してください。

マニュアルを更新した日と内容を残すことも重要です。古い基準を参照した制作物と、新しい基準で作ったものを区別できれば、どの段階でずれたかを調べやすくなります。

食品企業では、一つの制作物から始める

大手食品メーカーや飲食チェーンでは、ブランド担当、制作会社、広告運用会社、本部や店舗など、複数の人が制作に関わります。全員の好みを一つの長いルールにまとめるより、商品情報の確認や表現の整合など、共通にしたい基準から始めます。

まず、直近の動画やLPで繰り返した修正を一つ選びます。その理由、次回の作り方、確認方法を短く書き、次の制作で参照してみてください。効果を見るなら、修正回数だけでなく、確認時間や見落とした内容も比べます。

今回紹介したのは、当社が実際にマニュアルを作成・更新してきた進め方です。工数や売上が何%改善したという測定結果ではありません。インテグロースでは、制作の実務を整理し、AIが使える基準と、人が確かめる工程を一緒に作ります。

動画部分は、自社メディアの編集・修正と、2026年9月に作成・更新したマニュアルの記録をもとにしています。LP部分は、自社の制作マニュアルと品質確認基準を参照しました。LPの各基準が生まれた個別の修正経緯まで、すべて検証したという意味ではありません。