再生数が伸びた。保存も増えた。それでも、ブランドのフォロワーはあまり増えていない。食品のInstagram運用では、こうした数字の組み合わせをどう評価するかが重要です。

保存は、レシピや食べ方を後から見返してもらうきっかけになります。ただし、保存されたことだけで、その商品やブランドへの関心が深まったとは言い切れません。プロフィールアクセスと投稿経由のフォローも並べて見ると、次に直す場所を考えやすくなります。

インテグロースの運用分析でも、投稿形式別に閲覧・保存・プロフィールアクセス・フォローを再集計しました。この記事では、そのときに整理した見方を、食品メーカーや飲食チェーンの担当者が使える形で説明します。

再生数と保存数には、それぞれの役割がある

再生数や閲覧数は、コンテンツが見られた量を確認する数字です。リーチは、届いたアカウントの数を確認する指標なので、繰り返し見られる回数とは分けます。

保存数は、残しておきたいと思われた内容を探る手掛かりです。たとえば分量や手順が分かるレシピ、食材の使い切り方、商品の選び方は、保存する理由を作れます。ただし、「保存が少ないから役に立たない」「保存が多いから売れる」とまでは判断できません。

新商品の存在を知らせる投稿と、使い方を詳しく説明する投稿では、期待する役割が違います。一つの指標で全投稿に順位を付ける前に、何をしてほしい投稿だったかを確認します。

投稿で期待する役割 最初に確認する数字 次に確かめたいこと
商品やブランドを知ってもらう 閲覧・再生、リーチ 商品やブランドまで認識できる見せ方か
使い方を残してもらう 保存数、分母をそろえた保存率 説明が実際に使える内容になっているか
ブランドについて知ってもらう プロフィールアクセス 投稿の内容とプロフィールの説明がつながっているか
継続して見てもらう 投稿経由フォロー 今後どんな情報が得られるか伝わっているか

媒体の画面や投稿形式によって、取得できる項目は異なります。手元のデータにない数字を推計で埋めず、取得できる項目と期間を明記するところから始めましょう。

当社の分析では、プロフィールアクセスとフォローも再集計した

当社が行った食品ブランドの分析では、対象期間と投稿を固定し、リールとフィードを分けて、次の項目を集計しました。

  • 閲覧・再生の合計
  • 保存の合計と、閲覧・再生を分母にした率
  • プロフィールアクセスの合計と、その率
  • 投稿経由フォローの合計

ここで重視したのは、リールとフィードのどちらが優れているかを一度の集計で決めることではありません。それぞれがアカウントの中でどんな役割を担っているかを、複数の数字で確かめることです。

運用の振り返りでは、広告で人が来ても、プロフィールや既存投稿とのつながりが弱いのではないかという論点も出ていました。動画の冒頭だけを改善しても、訪れた先で「何のブランドで、フォローすると何が分かるか」が伝わらなければ、改善できる範囲は限られます。

このように、投稿単体の反応と、アカウント全体の説明を行き来して見ることが、当社の分析で大切にしている点です。

保存が多い投稿と、フォローにつながる投稿を比べる

以下は見方を説明するための架空の数値です。当社の顧客実績ではありません。比較の分母は、すべて閲覧数にそろえています。

指標 投稿A:詳しい食べ方 投稿B:ブランドの使い方
閲覧数 20,000 10,000
保存数 300 80
保存率 1.5% 0.8%
プロフィールアクセス数 100 200
プロフィールアクセス率 0.5% 2.0%
投稿経由フォロー数 5 20

保存だけならAが目立ちます。一方、ブランドへの移動やフォローはBの方が多くなっています。ここから「AをやめてBだけにする」と決めるのは早計です。

Aには、使い方を詳しく残す役割があります。Aの中に商品の特徴や、関連する食べ方を継続して紹介していることを自然に加える余地があるかもしれません。Bは、プロフィールを訪れたくなる見せ方を他の企画へ応用できるか検討できます。

なお、この表は投稿ごとの集計です。Aを保存した同じ人がプロフィールを開いてフォローした、という個人単位の経路を示してはいません。

数字は一本道にせず、反応ごとに見る

投稿を見る
保存する後で使う情報として残したか
プロフィールへ移動するブランドを知る行動があったか
フォローする継続して見る行動があったか
保存はプロフィールアクセスの必須条件ではありません。それぞれの集計値を、改善する場所を考える手掛かりにします。

数字の組み合わせから、次の改善を一つ決める

見られているが、プロフィールアクセスが少ない

投稿だけで用事が済んでいる可能性もあります。問題と決め付けず、ブランドに関心を持ってもらうことが目的だったかを確認します。

そのうえで、商品名が分かるか、他の投稿も見る理由があるか、プロフィールへ移る案内が内容に合っているかを見直します。「詳しくはプロフィールへ」と添えるだけでなく、移動すると何が分かるのかを明確にすることが大切です。

プロフィールアクセスはあるが、フォローが少ない

誰に向けたアカウントなのか、今後何を発信するのかを点検します。広告では簡単な食べ方を紹介しているのに、プロフィールには企業紹介しかない、といった内容のずれがないかを確認しましょう。

固定投稿や直近の投稿も含め、訪れた人が「自分に役立つ情報が続きそう」と判断できる材料をそろえます。フォロー数だけから原因を特定することはできないため、これは検証する改善仮説です。

保存は少ないが、プロフィールアクセスやフォローがある

ブランドの考え方や作り手を伝える投稿なら、役割を果たしている可能性があります。保存されやすい情報へ無理に寄せる前に、当初の目的に対して評価します。

大手企業のレポートでは、集計条件も共通にする

複数ブランドや複数の制作会社が関わる場合、数字を増やすより、比較できる状態を作る方が先です。対象期間、取得日、投稿単位かアカウント単位か、広告を含むか、率の分母を共通にします。

率をまとめるときも注意が必要です。たとえば閲覧1,000・保存100の投稿と、閲覧9,000・保存90の投稿では、保存率の単純平均は5.5%ですが、合計から計算した保存率は190÷10,000=1.9%です。月全体の割合を示すなら、合計を使うなど、目的に合った計算にそろえます。

フォローについては、投稿経由の獲得数と、解除も含むアカウント全体の純増を分けます。前月より率が上がっていても、閲覧やアクセスの実数が大きく減っていれば、同じ成果とは評価できません。

次の運用会議に、四つの欄を足す

まずは直近の投稿一覧に「投稿の役割」「プロフィールアクセス」「投稿経由フォロー」「次に試すこと」の欄を足してみてください。

数字の報告で終わらず、「使い方の投稿からブランドの説明へつながっているか」「プロフィールで継続して読む理由を伝えられているか」を話せるようになります。インテグロースでは、こうした分析を次の投稿企画・撮影・広告の改善までつなげる運用を支援しています。

Instagram全体の目的設計は、食品メーカーのInstagram運用ガイドでも整理しています。

この記事は、当社のSNS運用会議と投稿形式別の再集計で整理した判断方法をもとに執筆しました。比較表の数値は説明用の架空値です。特定の投稿形式の優位性や購買効果を実証するものではありません。