食品をインフルエンサーに紹介してもらうとき、思い浮かぶのは、商品を食べて「おいしい」と感想を伝える動画かもしれません。

もちろん試食は大切です。ただ、紹介する価値は、味の感想だけに限りません。地元で親しまれてきた背景や、工場で形ができていく様子も、商品に興味を持つ入口になります。

インテグロースがある食品メーカーと行った企画検討では、地元と接点のある発信者と、製造工程を見せることが得意な発信者という、二つの方向を考えました。今回は、この検討をもとに、食品PRの切り口を広げる方法を紹介します。

まずは「この商品には、どんな話があるか」を探す

企画の出発点を「誰が人気か」だけにすると、候補は見つかっても、紹介内容が似通うことがあります。先に、自社の商品が持つ材料を探してみましょう。

今回の検討で話題になったのは、発信者が地元の食として商品に親しんできたという接点でした。昔からの食の記憶と、今のお気に入りの商品。この二つがあれば、初めて食べる人の感想とは違う紹介が考えられます。

一方で、会社の歴史を最初から長く説明してもらう必要はありません。「どんなときに食べていたか」「今はどう楽しんでいるか」といった、一人の具体的な体験から始める案です。

ただし、実際にはない思い出を作ったり、地元出身という理由だけで愛用者のように扱ったりはしません。本人の経験を確認してから、どこまで紹介できるかを相談します。

地元とのつながりは、「その人が話す理由」になる

食品メーカー側の説明と、昔から知っている人の説明では、伝えられることが違います。

メーカーは、原材料や製法を正確に説明できます。発信者は、自分の暮らしの中で商品とどう接してきたかを話せます。今回の検討では、その両方を生かす対談や、お気に入りの商品の紹介が案に挙がりました。

ここでの狙いは、知名度の高い人に会社紹介を読み上げてもらうことではありません。本人の体験と、メーカーが確認できる事実をつなぐことです。

同じ食品を、違う入口から紹介する

食べる体験からどんな味や食感か。何と合わせ、どんな場面で楽しめるか。
地元との接点からいつ知り、どう親しんできたか。本人が話せるエピソードを起点にする。
作る工程から材料がどのように形になるか。動きや手仕事を分かりやすく見せる。
企画の切り口を選ぶための図です。どの入口でも、最後は商品そのものの理解につなげます。

地元のつながりを使う場合は、その地域を知らない人にも意味が伝わるようにします。身内だけで通じる店名や出来事を並べるより、「日常のどんな食事だったか」を添えると、別の地域の人も想像しやすくなります。

工場には、食レポとは違う見どころがある

もう一つの案は、食品が次々と形になる製造工程を、得意な発信者に撮影してもらうことでした。具体的には、成形機の動きが見どころとして挙がりました。

完成品だけでは分からない動きや、作り手にとって当たり前の作業が、初めて見る人には興味深く映るかもしれません。そこで、人を選ぶ際も、食べるリアクションの上手さではなく、工程のどこを見せると伝わるかを考えられるかが重要になります。

ただし、工場を見せるだけで品質や安全性が証明されるわけではありません。映像から言えることと、別に確認が必要なことは分けます。見せる工程と説明する事実を、メーカーの担当者とそろえておきましょう。

撮影の流れとしては、商品が形になる場面、調理する場面、実際に食べる場面をつなぐ案がありました。工程の面白さだけで終わらず、見ていた食品が食卓へ届くところまで考える構成です。

「工場なら撮れる」ではなく、撮れる範囲を決める

工場撮影では、映像として面白いかだけで日程を決められません。通常の生産を優先し、施設の衛生・安全ルールと、公開できる情報の範囲を確認します。

今回の企画でも、撮影できる工程、角度、映してはいけない機密情報を、事前に整理することが実務の論点になりました。

  • 入れる場所と、撮影を認める工程
  • 写してはいけない資料、表示、設備の細部
  • 服装、持ち込み機材、立ち位置など施設側のルール
  • 従業員が映る場合の確認方法
  • 生産を妨げない撮影時間と、当日の案内担当者
  • 公開前に、機密情報や説明の誤りを確認する範囲

単に「撮影NG」と伝えるより、「ここから、この工程は撮れる」と具体的にすると、発信者もその中で構成を考えやすくなります。

料理の特徴を聞き手に説明する作り手(AI生成イメージ)
作り手への質問も、商品を知る入口になります。何を撮り、何を話せるかを先にそろえます。(AI生成イメージ)

試食してから、企画を具体的にする

この企画検討では、当社もまず商品を試食して理解を深め、訪問や撮影の内容につなげる方針が挙がりました。商品を十分に知らないまま、話題性だけで撮影案を決めないためです。

読者の方が自社で始めるなら、次の順番で整理できます。

商品の材料を、起用企画にする順番

  1. 商品の理解をそろえる試食し、メーカーが伝えたい事実と特徴を確かめる。
  2. 紹介する入口を一つ選ぶ食べる体験、地元との接点、製造工程のどれを主役にするか。
  3. その見せ方が得意な人を探す過去の投稿で、話し方や工程の見せ方を確認する。
  4. 撮影と、その後の案内を決める撮れる範囲、紹介する商品、購入先をつなぐ。
実際の企画検討をもとに、読者が使える手順へ整理しています。特定の再生数や販売数を見込む計算ではありません。

投稿の最後にどこを案内するかも、早めに決めます。工場で見せた商品が販売ページで見つからないと、興味を持った人が迷います。試食した商品、撮影した商品、購入できる商品をつなげておきましょう。

まとめ|発信者の得意なことと、商品の持ち味を組み合わせる

食品PRは、すべての人に同じ食レポをお願いする必要はありません。

地元とのつながりを話せる人には、本人ならではの体験があるかもしれません。製造工程を見せるのが得意な人には、社内では見慣れた作業を、興味深く伝える視点があるかもしれません。

まずは、「食べた感想以外に、自社の商品について見てもらいたいこと」を三つ書き出してみてください。インテグロースは、その材料をもとに、誰に、何を、どのように伝えてもらうかを組み立てます。

商品の背景を生かしたPR企画を相談する

本記事は、食品メーカーとの起用・撮影・販促企画の検討をもとに構成しています。地元との接点や製造工程は検討した切り口であり、起用の成立や投稿成果を報告するものではありません。顧客・発信者は匿名化し、図解と確認項目を読者向けに整理しています。写真はAI生成イメージです。