「会社のInstagramがあるのに、店ごとのアカウントも必要ですか?」

複数の飲食店を運営していると、一つにまとめるべきか、それぞれに発信するべきかで迷います。店長に任せた店舗だけ更新が続き、別の店舗は半年止まったまま。そんな状態も避けたいところです。

インテグロースが運用設計で重視するのは、企業アカウントは会社やブランドへの理解、店舗アカウントは来店先を決めるための具体的な情報を担うという分け方です。ただし、店舗数と同じだけアカウントをつくる必要はありません。お客様が知りたいことと、更新できる体制の両方から決めます。

企業と店舗ではお客様が知りたいことが違う

会社として伝えたいことを並べる前に、お客様がそのアカウントを開く理由を考えます。

企業を知りたい人には、どんな店を展開し、どんな料理や接客を大切にしている会社なのかが役立ちます。一方、今夜行く店を探している人には、場所、料理、価格帯、営業時間、予約方法の方が先です。

同じ料理人の写真でも、企業アカウントなら「料理づくりで大切にしている考え方」、店舗アカウントなら「この料理を、どの店で、いつ食べられるか」が主題になります。

アカウント お客様の疑問 主に扱う情報 次に案内する先
企業 どんな会社が運営しているのか ブランド紹介、料理人、会社としての取り組み、新店の背景 各ブランドや店舗の案内
ブランド この店の系列にはどんな魅力があるのか 看板料理、共通のこだわり、季節企画 行きたい地域の店舗情報
店舗 自分が行くならどんな使い方ができるか 店舗限定メニュー、席、アクセス、営業情報、予約方法 その店舗の予約・問い合わせ先

この表は三つすべてを開設するという意味ではありません。一つのブランドで、各店のメニューや利用場面が近ければ、ブランドアカウントが店舗案内を兼ねる形でも始められます。

当社の設計では投稿本数より先に役割を分けた

2026年10月の飲食店向けの運用設計では、企業アカウントとブランド・店舗側のアカウントを分け、伝える内容を整理しました。

企業側には、ブランドの紹介、料理人、新店、季節の企画。ブランド・店舗側には、料理そのもの、食事をする場面、季節メニューを置く考え方です。

このときのたたき台は、企業側が月4投稿、ブランド・店舗側が月8投稿でした。月8投稿の内訳は、リール2本と写真・複数枚投稿6本です。これは一案件の検討案であり、企業は4本、店舗は8本が最適という基準ではありません。 役割を具体的な制作量に落とすために置いた本数です。

また、最初から全店へ広げるのではなく、まず一つのアカウントで3か月試し、投稿の反応、来店への案内、制作の負担を確かめる進め方を提案しました。アカウントを増やす判断には、数字だけでなく、店から写真や営業情報が無理なく集まるかも含めています。

採用と来店促進を同じ投稿に詰め込まない

企業アカウントがあれば、採用情報もすべてそこへ移せばよいのでしょうか。ここも、会社の都合だけで決めないことが大切です。

当社が関わった別の飲食店の運用では、通常投稿から採用テーマを外し、料理の品質、おいしそうに見える表現、店舗の魅力に寄せたいという要望がありました。発信する相手と、投稿の目的を整理し直した場面です。

求職者に店の雰囲気を伝えることと、お客様に食べに来てもらうことでは、必要な説明が違います。同じ動画の中で「おいしそう」「予約はこちら」「スタッフ募集中」を一度に伝えようとすると、何をしてほしい投稿なのかが曖昧になります。

採用を扱う場合も、採用情報の置き場所や応募先を決め、来店を促す投稿との役割を分けます。専用アカウントを新設するかどうかは、採用の発信量と担当体制を見て判断すれば十分です。

同じ撮影素材でも見出しと案内先を変える

アカウントを分けると、撮影もすべて別に必要になるように感じるかもしれません。当社の設計では、取材・撮影をまとめて行い、企業・ブランド・店舗それぞれの目的に合わせて編集する考え方を採っています。

たとえば、料理人が季節の一皿を仕上げる場面を撮ったとします。以下は、その素材の使い分け例です。

掲載先 見せる切り口 本文で添えること
企業 料理人の考え方 なぜその食材や調理法を選ぶのか
ブランド 季節の料理の楽しみ方 味の特徴、組み合わせ、提供する店舗
店舗 実際に食べに行く場面 店舗名、提供期間、利用できる時間、予約方法

撮影素材を共有することと、同じ文章を全アカウントへ投稿することは別です。写真が同じでも、読み手に合わせて見出しと案内先を変えれば、発信の役割を分けられます。

特に、店舗限定メニューを企業側で紹介するときは「全店で食べられる」と受け取られない表記が必要です。価格や提供期間の確認は、写真を撮った担当者だけで完結させず、提供する店舗に確認してから出します。

店舗別に分けるかはこの三つで判断する

分けるメリットがあるかを考える際、当社なら次の順番で整理します。

店舗ごとの違いを継続して伝える必要があるか

営業時間が違うだけなのか、メニュー、価格帯、席の使い方、来店するお客様まで違うのか。違いが大きいほど、店舗ごとに説明する意味があります。

反対に、共通メニューが中心で、店舗ごとのお知らせが少ない場合は、まず一つのアカウントで店舗名を明記し、プロフィールの案内先や、情報をまとめて残せるハイライトなどで整理する方法が考えられます。

更新と問い合わせの担当者を置けるか

投稿制作だけを外部へ任せても、臨時休業や売り切れ、予約の問い合わせへの対応は残ります。誰が情報を確認し、誰が返信するかが決まっていない状態で、アカウントだけを増やさないことです。

分けた後の負担を小さく試せるか

全店同時に始める前に、情報が集めやすい一店舗で流れをつくります。投稿数を達成したかだけでなく、確認に何日かかったか、店側の作業が集中していないか、予約先を間違えず案内できたかまで振り返ります。

この三つがそろわない場合は、一つのアカウントを整理することから始めた方が、続けやすい運用になります。

アカウントを増やす前に決めておく運用表

役割分担を口頭だけで決めると、担当者が変わったときに曖昧になります。最低限、次の項目を一枚にまとめておくと引き継ぎやすくなります。

  • 企業側で扱うテーマと、店舗側で扱うテーマ
  • 写真・動画・営業情報を集める担当者
  • メニュー名、価格、期間の最終確認者
  • 問い合わせの返信担当と、店舗への取り次ぎ方
  • プロフィールから案内する予約先・店舗案内先
  • 月に一度、投稿の反応と運用負担を振り返る日

企業アカウントを、店舗アカウントと同じ予約数だけで評価する必要もありません。企業側はブランドや店舗への案内が機能しているか、店舗側は来店判断に必要な情報がそろっているか。それぞれの役割に合った見方をします。

今あるアカウントの役割を一文にする

「このアカウントは、誰に、何を知ってもらうためのものか」。これを一文にすると、必要な投稿と、別の場所に移す情報が見えてきます。

企業と店舗を分ける目的は、管理するアカウントを増やすことではありません。お客様が必要な情報にたどり着けることと、現場が無理なく発信を続けられること。その両方が整う分け方を選びます。

インテグロースのSIZMOAでは、アカウントの役割整理から企画・撮影・投稿・改善までを支援しています。複数店舗の発信を整理したい方は、現在のアカウントと更新体制からご相談ください。

飲食店のInstagram運用支援 SIZMOAを見る