「動画は撮りたいけれど、厨房もホールも忙しい。撮影のために店を止めるわけにはいかない」。飲食店で動画を作るとき、映像の仕上がりと同じくらい気になるのが、営業への影響です。

インテグロースが制作パートナーと進めた実務では、営業前や営業の合間など、店が撮影に使える時間を前提に進め方を考えていました。限られた時間で進めるために大切なのは、当日急いで撮ることよりも、何を、どの順番で、いつまでに撮るかを先にそろえることです。

営業への影響を完全になくせるとは限りません。それでも、撮影側と店側が事前に共有することを絞れば、当日に初めて決めることを減らせます。

最初に決めるのは、撮る料理ではなく「使う場所」

料理の候補を並べる前に、完成した動画をどこで使うか確認しましょう。

企画検討では、SNS、ホームページ、店頭の映像モニター、採用など、目的によって撮り方を変える話が出ました。同じ店の紹介でも、何を伝えるかは同じではありません。

例えば、店頭のモニターで見てもらうなら、通りかかった人に何のお店か伝える必要があります。採用なら、料理だけでなく、働く人や仕事の様子が必要になることもあります。

使う場所が決まったら、画面の縦横、音を出せるか、どのくらいの長さを想定するかを共有します。「SNSにも使いたかった」と撮影後に気づく前に、兼用したい場所も伝えておきましょう。

主役の料理を選び、撮影する品数を絞る

実際の企画検討では、店が特に見せたい料理を確かめたうえで、主役と、それを補う料理・飲み物を選んでいました。

すべてのメニューを撮るのではなく、「この店といえば何を覚えてほしいか」を起点にする。そのほうが、厨房で準備するものも決めやすくなります。

厨房の作業台で撮影する料理を順に仕上げる手元(AI生成イメージ)
主役の料理を決め、仕上がる順番を厨房と撮影側で共有します。(AI生成イメージ)

料理を選ぶ際には、次のことを一緒に確認します。

  • 主役として見せたい料理は何か
  • その料理を、実際にいつ提供しているか
  • 仕上がりまでに、どんな準備が必要か
  • 一緒に見せたい料理や飲み物は何か
  • 撮影時と告知時で、提供内容が変わる予定はないか

企画の中には、提供できなくなる食材の話から、撮影する商品を考え直すやり取りもありました。今きれいに撮れるだけでなく、動画を使う時期にも案内できる内容を選ぶことが大切です。

撮影前にそろえる、四つの情報

制作パートナーとの実務では、撮影前に大まかな構成、撮る商品、時間の使い方、参考動画を共有する進め方が示されていました。専門的な絵コンテを店側が作る必要はありません。まずは、次の四つを同じ認識にします。

当日に迷わないための、四つの事前共有

  1. 撮るもの料理名、飲み物、店内の場所、出演する人
  2. 見せる流れ最初の場面、主役、最後に伝えること
  3. 目指す雰囲気参考動画と、好きな部分・変えたい部分
  4. 当日の進行集合、準備、撮影、片付けの順番と終了時刻
実務で共有された進め方をもとに整理した確認項目です。店舗や撮影内容によって必要な準備は変わります。

参考動画は、「これと同じにしてほしい」と渡すだけではなく、色味が好きなのか、料理の見せ方が好きなのかを伝えると、話し合う点がはっきりします。

企画検討でも、落ち着いた色味の参考を共有しつつ、店独自の見せ方を残すことが重視されていました。参考は完成品をそのまま真似するためではなく、仕上がりの認識をそろえるために使います。

動画で見せる順番と、当日撮る順番は分けてよい

動画では「料理が出てくる→調理の様子→店内」と見せたくても、現場で同じ順番に撮る必要はありません。

撮影側からは、店に迷惑をかけない時間の使い方や、進行を考える役とカメラを担当する役の連携についても説明がありました。店側の準備と合わせることが、当日の進め方に関わります。

例えば、料理の仕上げを待つ間に店内を撮る。営業で使う場所は、使い始める前に撮り終える。こうした組み方は、店の条件に合わせて事前に相談できます。

営業前に撮影する場合の、進行の考え方

  1. 準備と確認使える場所、厨房の仕上がり予定、終了時刻をそろえる
  2. 準備できたものから撮る店内・調理・料理を、店の動きに合わせて組み替える
  3. 必要な場面を確認する主役の料理や、使う場所に必要な映像がそろったか確かめる
  4. 片付けて営業へ戻す機材と移動した備品を戻し、お客様を迎える状態にする
インテグロースが記事用に作成した進行例です。固定の所要時間ではなく、店と撮影内容に合わせて調整します。

同じ日にイベントがあるなら、準備時間も確認する

実務では、料理の撮影と店のイベントを同じ日に行う相談もありました。撮影できる機会が増える一方で、リハーサルや会場準備と重なると、使える場所や時間が変わります。

イベントの開始時刻だけでなく、設営、音合わせ、出演者の準備がいつ始まるかまで確認しておくことが大切です。

料理撮影とイベント撮影のどちらを優先するのか。両方を撮るなら、どこまでを今回の範囲とするのか。当日になって撮るものを増やす前に、先に相談しておきましょう。

開店前の客席でカメラ担当者と店舗スタッフが撮影を進める場面(AI生成イメージ)
使える場所と終了時刻をそろえて、営業前の撮影を進めます。(AI生成イメージ)

お店から制作側へ渡せる、簡単な準備メモ

難しい資料を作らなくても、次の欄を埋めれば打ち合わせの出発点になります。

項目 記入すること
動画を使う場所 SNS、ホームページ、店頭モニターなど
一番伝えたいこと 主役の料理、店の特徴、利用してほしい場面
撮影候補 料理、飲み物、調理、店内、スタッフ
使える時間と場所 仕込み・接客と重ならない範囲、撮影終了時刻
参考にしたい雰囲気 参考動画と、そのどの部分が好きか
当日の窓口 料理の準備や判断を制作側と相談する担当者

インテグロースでは、こうした準備と、動画を見た人へ何を案内するかをつなげて考えます。撮影後の使い道まで決まっていれば、必要な映像も選びやすくなります。

まとめ|当日を急ぐより、当日に決めることを減らす

営業への影響を抑える撮影は、カメラマンだけで完結する仕事ではありません。

  • 動画を使う場所と目的を先に決める
  • 主役の料理と、必要な撮影範囲を絞る
  • 構成、参考動画、準備、進行を事前に共有する
  • 片付けまで含めて、店が営業へ戻れる時間を考える

次の撮影では、まず「どこで使う動画を、何時までに撮るか」を決めてみてください。そこから、厨房と撮影側の両方が動きやすい段取りを組み立てられます。

営業に合わせた撮影と発信の進め方を相談する

本記事は、制作パートナーとの制作・企画検討で共有された撮影準備の進め方をもとにしています。進行図と準備メモは当社が整理した例です。営業への影響ゼロや、一定時間での撮影完了を保証するものではありません。サムネイルと本文写真はAIによるイメージです。