「たくさん見られれば、お客様も増えるはず」。インフルエンサーへの依頼を考えると、まずフォロワー数に目が向きます。

ただ、飲食店には場所があります。料理を見て食べたくなっても、住んでいる場所、休日の予定、予算が合わなければ、すぐ来店できるとは限りません。

インテグロースがレストランの現地視察と集客提案で向き合ったのも、魅力的に見えることと、実際に足を運ぶ理由があることの違いでした。この記事では、その検討から整理した人選の考え方を紹介します。

きれいな店なのに、来店する理由が伝わらない

視察したレストランには、ゆとりのある空間と美しい景色がありました。一方、偶然通りかかって入るような立地ではなく、近くへ出かけた人にも、少し足を延ばして訪れる理由が必要でした。

料理や景色をきれいに撮れば、それで十分なのか。提案を検討する中では、「どんな人が、どの予定の中で、その店を選ぶのか」を、より具体的にする必要がありました。

例えば、買い物の帰りに食事をする人と、記念日に遠方から訪れる人では、伝える内容が違います。前者には時間と行きやすさ、後者にはその店で過ごす価値が大切になるでしょう。

発信者を探す前に、お客様の一日の中へ店を置いてみる。 これが、人選を考える土台です。

「近いうちに来てほしい」と「いつか行きたい店になる」を分ける

この提案では、短期の来店と、中長期の店のイメージづくりを分けて考えました。同じ店を紹介する場合でも、目指すことが違えば、選ぶ人と振り返る数字が変わります。

今回の投稿で、何を目指すか

近いうちの来店近隣に住む人、働く人、その地域へ出かける人。メニュー、予算、移動、予約のしやすさを伝える。
将来の来店候補になる旅行や記念日の行き先を探す人。その店ならではの料理、景色、過ごす時間を伝える。
提案時に整理した目的の違いです。両方に取り組む場合も、投稿ごとの役割を分けて考えます。

今月の予約を増やしたいのに、遠方の人へ店名が広がったことだけで評価すると、目的と振り返りがずれます。逆に、旅行先として知ってもらう投稿を、翌日の予約だけで失敗と決めるのも早い判断です。

依頼前に、店側で「今回はどちらを優先するか」を話しておくと、候補者の比較がしやすくなります。

食事の時間を過ごすレストランの空間(AI生成イメージ)
料理だけでなく、どんな時間を過ごす店かまで考えると、届けたい相手が具体的になります。(AI生成イメージ)

地域・利用場面・予算の三つを重ねる

別の飲食店向け企画では、地域の飲食店を紹介する人、街歩きやデートを紹介する人、料理とお酒の組み合わせを紹介する人を、分けて検討しました。

「グルメの人を何名」という人数からではなく、来店理由ごとに役割を持たせる考え方です。候補を見比べるときは、次の三つを確認します。

1.その地域へ出かける人に届いているか

発信者が近くに住んでいることと、見ている人が近くにいることは同じではありません。普段どの地域を紹介しているか、どんな外出を提案しているかを見ます。本人が共有できる場合は、閲覧者やフォロワーの地域の集計情報も参考にします。

地域は、住所だけで狭く決めるものでもありません。日帰り旅行の行き先として成立する店なら、少し遠くから出かける人に届く発信者も候補になります。

2.紹介する食事の場面が合っているか

一人で立ち寄るランチ、友人との気軽な食事、二人でゆっくり飲む夜。どの場面を普段紹介している人なのかで、店の見せ方は変わります。

カウンターで料理人との会話を楽しむ店なら、その距離感を伝えられるか。家族で過ごす店なら、席や食事の選びやすさを紹介できるか。直近の投稿で確かめます。

3.予算と提供内容が合っているか

価格帯が違う人を一律に外す必要はありません。ただし、普段の紹介と差があるなら、「今回は何が特別なのか」を説明できるかが大切です。

招待のためだけに豪華な体験を用意し、一般のお客様には同じものを提供できないと、投稿と来店後の体験が食い違います。撮影する料理と、実際に予約できる内容をそろえておきましょう。

候補がよくても、受け入れ方で無理が出る

小さな店では、複数人の撮影が同じ時間に重なるだけで、通常の営業に影響します。インテグロースの企画検討でも、席数を踏まえて来店日を分散し、同行者や提供メニューを先に決める案を整理しました。

依頼前に確認したいのは、次の項目です。

  • 来店日時、滞在時間、同行者の人数
  • 提供するメニューと、追加注文の扱い
  • 撮影できる席や場所、ほかのお客様の映り込み
  • 料理を出す順番と、店側の確認担当者
  • 投稿で案内する価格、提供期間、予約方法

撮影のために料理が冷めてしまったり、接客が止まったりしないようにすることも、店に合った起用条件の一つです。

動画を見た後の疑問まで、店側で用意する

「行ってみたい」を、予定に変える案内

  1. 料理や過ごし方が気になるどんな食事の時間になるかを投稿で知る。
  2. 行けそうか確かめる場所、行き方、所要時間、営業時間を見る。
  3. 自分たちに合うか確かめる人数、席、メニュー、予算を確認する。
  4. 空席を調べる迷わず予約先へ進めるようにする。
当社が読者向けに整理した来店前の確認例です。投稿だけでなく、その先の店舗案内も準備します。

人選と同時に、この流れをスマートフォンで確かめます。ホテルや複合施設の中の店であれば、宿泊や施設利用をしない人も食事できるのかなど、初めての人の疑問に答える案内も必要です。

まとめ|「どの人が有名か」より「どのお客様に来てほしいか」

飲食店のインフルエンサー選びでは、規模の大小だけで正解は決まりません。

まず、来てほしいお客様の地域、利用場面、予算を言葉にする。その人が外出先や食事を選ぶときに、参考にしそうな発信者を探す。さらに、店の受け入れ方と予約案内を整える。この順番なら、依頼する理由を店内でも共有できます。

インテグロースは、店舗の立地や営業の条件も踏まえて、「誰に紹介してもらうか」と「何を来店理由にするか」を一緒に考えます。

自店に合うインフルエンサー施策を相談する

本記事は、当社が関わったレストランの現地視察、集客提案、来店体験の企画検討をもとに構成しています。顧客情報は匿名化し、起用後の予約増加や売上効果は主張していません。図解は読者向けの整理、写真はAI生成イメージです。