「1件10円くらいで、お店のプロフィールを見てもらえました」。広告の報告でそう聞いたら、成功だと感じるでしょうか。
インテグロースで分析した飲食店の4キャンペーンでは、広告費78,089円に対し、Instagramのプロフィールアクセスは7,910件。合計から計算した単価は約9.87円でした。
この数字で分かるのは、プロフィールへの誘導にかかった費用です。予約や来店を1件約10円で獲得したという意味ではありません。 今回のデータを使って、広告の報告をどこまで評価でき、次に何を確かめるべきかを考えます。
4キャンペーンの実績を同じ表に並べる
対象は、2026年6月1日から9月23日までを抽出期間とする、飲食店広告のキャンペーン別データです。店舗名と投稿名は伏せ、A〜Dで表記しています。各キャンペーンが、この期間中ずっと配信されていたという意味ではありません。
| キャンペーン | 広告費 | プロフィールアクセス | 1件あたりの単価 | 抽出時の状態 |
|---|---|---|---|---|
| A | 3,896円 | 351件 | 11.10円 | 停止中 |
| B | 59,456円 | 6,259件 | 9.50円 | 停止中 |
| C | 13,026円 | 1,141件 | 11.42円 | 終了 |
| D | 1,711円 | 159件 | 10.76円 | 配信途中 |
| 合計 | 78,089円 | 7,910件 | 9.87円 | 計測設定が混在する参考値 |
単価は「広告費÷プロフィールアクセス件数」で算出し、小数第3位を四捨五入しています。費用は広告レポートの「消化金額(JPY)」です。制作費・運用費を含む施策全体の費用とは区別します。
ここで、4本の単価を足して4で割ると、全体の単価を正しく表せません。少額のDと、多くの費用を使ったBを同じ重さで扱ってしまうためです。
今回の全体単価は、78,089円÷7,910件=約9.87円。合計費用を合計件数で割っています。ただし、次に説明する計測設定の違いがあるため、この値を同一条件の成績として扱わないことが重要です。
約10円という数字の前に計測設定を確かめる
元データには、成果を広告に結び付ける際の設定が二種類ありました。「アトリビューション設定」と呼ばれる欄です。
- A:クリックから1日間
- B・C・D:クリックから7日間、または表示から1日間
今回はこの設定欄の違いを残し、B・C・Dを、計測設定をそろえた比較対象として分けました。この3本の広告費は74,193円、プロフィールアクセスは7,559件、合計から求めた単価は約9.82円です。
ただし、計測設定が同じでも、配信した時期や相手、配信量まで同じとは限りません。 Bの単価が低かったからといって、写真や文章だけが理由だと断定はできません。プロフィールアクセスにどの条件が適用されたかも含め、詳しい比較には指標の定義を確認する必要があります。
運用会社に報告を依頼するときも、「同じ数字の名前だから比較できる」と考えず、期間と設定を一緒に示してもらうと読み違いを減らせます。
Bは再検証する候補だがDの結論は急がない
今回、Bのプロフィールアクセスは6,259件で、4本合計の約79.1%を占めました。広告費に占める割合は約76.1%です。費用配分が大きかっただけでなく、B・C・Dの中では1件あたりの単価も最も低い結果でした。
ここから当社が次の検証候補にしたのは、Bの訴求です。ただし、「Bをそのまま増額すれば同じ単価で成果が増える」という判断ではありません。元の画像や動画、文章、配信条件を確認し、どこを再現して試すかを決める段階です。
一方、Dは広告費1,711円、159件で、抽出時点ではまだ配信途中でした。Bより単価が高いことだけを理由に、すぐ失敗と判断するのは早すぎます。
金額や件数が大きく異なるものを比べるときは、次の三つを分けて考えます。
- どのくらいの件数を得られたか
- 1件あたりにいくらかかったか
- 判断に使える配信量と期間があるか
この分け方なら、件数が少ない広告をすべて失敗にしたり、多額の予算を使った広告を件数だけで成功にしたりせずに済みます。
広告を安く表示できてもプロフィール誘導が安いとは限らない
もう一つ、BとCには読み取れる違いがありました。
| 比較する項目 | B | C |
|---|---|---|
| 広告の表示回数 | 65,614回 | 14,901回 |
| 1,000回表示する費用 | 906.15円 | 874.17円 |
| プロフィールアクセス単価 | 9.50円 | 11.42円 |
CはBより約3.5%安く広告を表示できていました。それでも、プロフィールアクセス単価は約20.2%高い結果です。
つまり、「広告が安く表示された」ことと「プロフィールに安く誘導できた」ことは別でした。このケースでは、表示の安さだけを追うのではなく、見た人が詳しく知りたくなる内容になっているかを検証する必要があります。
当社の次の検証案では、料理の見せ方、季節の伝え方、プロフィールへ案内する言葉を比較候補にしました。どの要素が原因かは、この集計だけでは特定していません。
プロフィールアクセスは予約や来店の人数ではない
7,910件という数字を、7,910人の新規客や、7,910件の予約と読み替えることはできません。プロフィールへのアクセス件数は、重複を除いた新規客数ではないからです。
今回のデータには、広告と結び付いた予約数、実際の来店数、売上はありません。そのため、予約1件あたりの費用や、広告費に対する売上をこの表から計算することはできません。
また、レポートには「リンククリック」「クリック(すべて)」という別の数字もありました。一部の行では大小関係の確認が必要だったため、これらを無理に引き算したり、プロフィールアクセスと足し合わせたりしていません。
数字の列が多いほど詳しい報告になるとは限りません。定義を説明できる数字から判断し、確認が必要な項目は分けておく方が、店舗の意思決定には役立ちます。
店長が広告レポートで確認したい五つの質問
広告の報告を受け取ったら、単価の安さに加えて、次の質問をしてみてください。
- この広告は、プロフィール閲覧、予約ページへの誘導、予約完了のどれを目指したのか
- 比較した広告の集計期間と計測設定はそろっているか
- 配信途中の広告や、費用が極端に少ない広告が混ざっていないか
- プロフィールには、場所・メニュー・価格帯・予約方法が分かる情報があるか
- 次回は何を変え、何を変えずに確かめるのか
Metaの公式学習資料でも、事業の目的に広告の目的を合わせ、目的に合った指標で評価することが案内されています。ここで大切なのは、専門用語を覚えることより、店が得たい結果と報告の数字を合わせることです。Meta Blueprint:広告目的の設定
今回の約10円は次の判断を始めるための数字
今回の4キャンペーンでは、プロフィールアクセス1件あたり約9.87円という集計結果が得られました。同時に、計測設定の違い、Bへの配信の集中、Dが配信途中であることも確認できました。
この4本だけで、飲食店全体の相場や成功基準を決めることはできません。当社が重視するのは、自店の条件をそろえて比較し、反応のよかった訴求を次に試し、プロフィールから予約・来店までの案内を整えることです。
「単価は安いと言われたけれど、次に何をすればよいか分からない」。その場合は、数字の評価だけでなく、広告を見た後にお客様が開くページまで一緒に見直してみてください。
集計:株式会社インテグロース。対象期間は2026年6月1日〜9月23日、対象は4キャンペーン。2026年9月23日時点の広告レポートをもとに、キャンペーン名を匿名化し、原値から再計算しています。


