いつもは明るく接客しているスタッフなのに、カメラを向けると急に表情が硬くなる。「もっと自然に」「笑顔でお願いします」と伝えても、どうしてよいか分からず、ますます緊張してしまう。

飲食店の動画で、人柄を伝えたいときに悩みやすい場面です。

制作パートナーとの制作・企画検討で共有されたのは、笑顔を注文するのではなく、会話しながら表情を撮るという進め方でした。スタッフの演技力だけに任せず、撮る側が声のかけ方や現場の雰囲気を考える。その工夫を、店での撮影にも使える形で整理します。

「自然にしてください」は、意外と難しいお願い

カメラの前に立つ人からすると、「自然に」と言われても、どこを見て、何をして、いつ笑えばよいのか分かりません。

制作の話でも、笑顔を求めるだけでなく、話しながら撮ることや、出演者への指示の出し方が重要だと説明されていました。自然に見える表情を撮るために、撮影者が何もせず待っているわけではないのです。

例えば、得意な料理について話してもらう。目の前の相手へ一皿を渡してもらう。スタッフが普段している仕事や会話から、撮影する場面を考えられます。

表情だけを変えてもらうより、何をしている場面なのかを共有する。まずここから始めましょう。

店内のカウンターで自然に会話する二人のスタッフ(AI生成イメージ)
表情だけを求めず、普段の会話や仕事から撮る場面を考えます。(AI生成イメージ)

表情の前に、「誰へ、何をするか」を伝える

ここでいう撮影の指示とは、難しい演技をお願いすることではありません。目線を向ける相手や、行う動作を分かりやすく伝えることです。

次の表は、制作パートナーとの検討で共有された考え方をもとに、当社が作った声かけの例です。

伝え方に迷いやすいお願い 場面が分かる声かけの例
自然にお願いします いつもの接客のように、目の前の人へ料理を置いてみてください
もっと楽しそうに この料理で、作っていて楽しいところを教えてもらえますか
お店の魅力を話してください 初めてのお客様に、この一皿のどこを紹介しますか
もう一回お願いします 今度は、料理を置いてから相手の顔を見るところまで撮りましょう

言葉は、相手に合わせて変えて構いません。大切なのは、何がうまくできなかったかを曖昧にしたまま、撮り直しだけを重ねないことです。

一発で完成させようとしない

実務では、写真も一度で決めるのではなく、複数撮った中から良い場面を選ぶという説明がありました。動画でも、最初の一回から完璧な表情を求めすぎないことが大切です。

撮る側が焦ると、出演する人にも「失敗できない」という空気が伝わります。制作側との話では、難しい雰囲気を作らず、ラフに進めることも重視されていました。

当社では、店で撮る場合も、次のように小さく区切って進めることを提案します。

会話から、短い撮影へ進める

  1. 先に話す料理や普段の接客など、本人が話しやすいことから始める
  2. 一つの動きを決める置く、渡す、説明するなど、場面を絞る
  3. 短く撮って確認する全部を一度に演じず、必要な場面ごとに見る
  4. 一つだけ変えて撮り直す目線や動くタイミングなど、次にすることを具体的に伝える
会話と指示の工夫をもとにした進行例です。出演する人の希望や慣れ方に合わせて調整します。

長く撮り続けることが目的ではありません。使いたい場面が撮れたかを確かめ、必要なところを撮り直す。そのためにも、撮る側が完成イメージを持っておきます。

話す動画は、文章よりも「本人の言いやすさ」を大切にする

店長や料理人が話す動画では、原稿を用意しても、読み上げた瞬間に硬く聞こえることがあります。

企画検討でも、台本を作った側の言葉と、話す本人が伝えたい内容に少しずれがあると、話しにくくなるというやり取りがありました。文章として整っていることと、自然に口から出ることは別です。

まずは、本人が普段お客様へ使っている言葉で話してもらい、そこから短く整理する方法があります。

  • この料理で一番伝えたいことは何か
  • 初めて食べる人には、いつも何と説明しているか
  • 言い慣れていない言葉が原稿に入っていないか
  • 一度に話す内容を増やしすぎていないか

食材や料理名、価格などの事実は変えずに、言い回しを本人に合わせる。作った文章へ人を合わせるのではなく、伝えたいことが本人の言葉で届くように整えます。

料理人が目の前の相手に一皿の特徴を説明する場面(AI生成イメージ)
本人が普段使う言葉に合わせると、話してもらう内容も整理しやすくなります。(AI生成イメージ)

人を出す目的を、笑顔の前に決める

スタッフの笑顔を撮ること自体が、動画の目的とは限りません。どんなお店かを伝えるために、人をどう見せるかを考えます。

制作パートナーとの企画検討では、スタッフの反応を、店へ興味を持ってもらう入口にする考え方も示されていました。そこでは、誰が出演し、どう動くかまで含めて企画されています。

伝えたいことから、撮る場面を選ぶ

話しかけやすさ料理を案内する、相手の話を聞く場面
仕事への丁寧さ盛り付ける、仕上がりを確かめる手元
店の楽しさスタッフ同士や相手との、実際のやり取り
記事用の整理例。無理に全員を笑顔にしたり、すべての動画へ人物を入れたりする必要はありません。

演出する場合も、実際のお客様の感想や自然発生した反応と取り違えられる見せ方は避けたいところです。また、出演する本人には、何を撮り、どこで使うかを先に共有しましょう。顔出しに抵抗がある場合は、手元や後ろ姿など、別の伝え方を相談できます。

まとめ|撮られる人の頑張りだけに頼らない

  • 笑顔だけを求めず、会話や普段の動作から場面をつくる
  • 誰へ何をするかを、短く具体的に伝える
  • 一発で決めようとせず、確認しながら撮る
  • 台本は、本人が話しやすい言葉へ整える
  • 人を出して、何を伝えたいのかを先に決める

インテグロースが大切にしたいのは、スタッフを広告の出演者に変えることではなく、普段の仕事にある店の良さを伝えることです。次に撮影するときは、カメラを構える前に、その料理について一つ質問するところから始めてみてください。

スタッフや料理の魅力を伝える動画を相談する

本記事は、制作パートナーとの制作・企画検討で共有された撮影時の会話、指示、台本づくりの考え方をもとにしています。声かけ表と進行図は、インテグロースが読者向けに作成した例です。サムネイルと本文写真はAIによるイメージで、実際のスタッフの写真ではありません。