「料理の写真は載せている。でも、次に何を投稿すればいいのか分からない」

そんなときは、メニューを一つずつ紹介する以外に、お客様がどんなときに店を利用したくなるかから投稿を考える方法があります。

例えば、同じ一杯と一皿でも、「仕事帰りに一人で寄りたい日」と「友人との集合まで少し時間がある日」では、知りたいことが違います。前者なら一人でも入りやすそうか。後者なら待ち合わせ場所に近いか、軽く頼めるものがあるか。料理の魅力に、その場面で店を選ぶ理由を添えるのです。

この考え方に役立つのが、カテゴリーエントリーポイントです。この記事では、インテグロースが居酒屋のInstagram運用を提案した際の設計をもとに、利用場面を投稿へ変える方法を紹介します。紹介するのは企画段階の例であり、来店増加を確認した成果事例ではありません。

カテゴリーエントリーポイントとは何か

カテゴリーエントリーポイントは、商品やサービスを買う・使う場面で、候補のブランドを思い出すきっかけになる状況や気持ちを指します。略してCEPと呼ばれます。

飲食店なら、「仕事が終わり、帰る前に一杯飲みたい」「寒いので温かい料理を食べたい」といったきっかけです。研究機関のエーレンバーグ・バス研究所は、こうしたきっかけに、動機や感情だけでなく、場所や時間なども含めて説明しています。カテゴリーエントリーポイントの公式解説

ターゲットが「誰に来てほしいか」なら、CEPは「その人が、どんなときに店を思い出すか」です。同じ会社員でも、毎回同じ理由で店を選ぶわけではありません。

店を探す場面 そのときの気持ち 投稿で伝えたい情報
仕事帰り、一人で帰宅する途中 気を張らずに、一杯だけ飲みたい 入口、席の雰囲気、一人分の注文例
友人との集合前、駅の近くにいる 待っている時間に、軽く飲みたい 駅からの道順、飲み物と小皿、注文例の総額
寒い日の帰り道 温かいものを食べてから帰りたい 湯気のある料理、量、価格、提供店舗

これはお客様全員に当てはまる分類ではなく、投稿を考えるための仮説です。自店で実際に見られる使い方や、お客様との会話から確かめていきます。

また、「12月だから忘年会」という年間行事の一覧だけでは、投稿はまだ決まりません。「忘年会まで時間が空いているので、会場の近くで先に一杯飲みたい」まで具体的にすると、必要な写真や言葉が見えてきます。

料理のおいしさと店の使いやすさを一緒に伝える

居酒屋の企画で論点になったのは、映像の見栄えと、気軽に入れる店の印象をどう両立するかでした。

料理を丁寧に撮ることは大切です。ただ、特別感の強い映像ばかりになると、普段使いを考えている人には「少し高そう」「気軽な一杯には向かないのかな」と受け取られる心配があります。そこで、料理の接写に加えて、店の入口、席、実際の注文の組み合わせ、税込の総額を見せる構成を提案しました。

映像の品質を下げるという話ではありません。料理はおいしそうに見せながら、入店して過ごす様子も想像できるようにするということです。

例えば一人客向けの投稿なら、大皿料理の接写だけで終わらず、一人分をテーブルに置いた状態も撮ります。初めて行く店を探す人向けなら、店内の雰囲気だけでなく、外から見た入口も入れます。

「おいしそう」の次に、「自分が行くなら、こんな使い方ができそう」が伝わるか。その視点で撮影内容を決めます。

三つの利用場面から投稿を考える

今回の提案では、店の基本紹介に加え、次のような場面を投稿企画にしました。以下の冒頭文は、考え方を伝えるための文案例です。

集合前に軽く飲むゼロ次会

食事会の前に軽く飲む「ゼロ次会」を想定するなら、主役は豪華なコースではありません。駅から店へ向かい、一杯と小皿を頼む流れです。

冒頭は「集合まで、少し時間がある日に」。駅や入口、飲み物、軽く頼める料理を見せ、注文例の税込総額と店舗情報で締めます。「待ち合わせ前の自分」に置き換えて見てもらうための構成です。短時間利用を扱う場合も、確認していない提供時間や待ち時間は約束しません。

寒い日の帰り道に温かい一皿

同じ料理紹介でも、「新メニュー登場」ではなく「冷える帰り道に、温かい一皿を」と始める方法があります。

湯気や調理中の様子から、席に届いた一皿へつなげます。料理の接写だけでは量が分かりにくいため、テーブル全体も撮影します。価格、提供店舗、期間限定なら提供期間も添え、食べたくなった人が確認できるようにします。

年末の仕事帰りに二人で寄る

年末の投稿を、すべて大人数の宴会案内にする必要はありません。仕事を終えた同僚と二人で、気軽に話したい場面も考えられます。

例えば「仕事終わり、今日は二人で一杯」。二人で囲む料理の量、テーブルの広さ、乾杯する自然な様子を見せます。次の案内は店舗情報へ。予約を受け付けている店なら、予約方法も分かるようにします。

三つの投稿で使う料理が一部重なっていても構いません。変えるのは料理だけでなく、冒頭の言葉、一緒に見せる場面、最後に案内する情報です。

一つの場面を七つの項目で投稿企画にする

「利用場面から考える」と言われても、撮影担当者が何を撮ればよいか分からなければ進みません。インテグロースの提案では、対象者から振り返る指標までを七つの項目でつなげました。

「集合前に軽く一杯」を例にすると、次のように整理できます。

決める項目 投稿企画の記入例
① 対象者 近くで友人や同僚と待ち合わせている人
② 利用場面・気持ち 集合まで時間があり、近くで軽く飲みたい
③ 伝える店の価値 駅からの位置と、軽く頼める注文例が分かる
④ 冒頭の言葉 「集合まで、少し時間がある日に」
⑤ 撮影する順番 駅・入口 → 最初の一杯 → 小皿と注文例の総額 → 店舗情報
⑥ 見た後の行動 プロフィールから店舗の場所を確認する
⑦ 振り返る数字 動画の視聴状況、保存、プロフィールや店舗案内への反応

この表は、撮影前に共有します。そうすれば、料理の映像は撮れたのに、店の外観や一人分の注文例が足りない、といった不足に気づきやすくなります。

一つの投稿へ、一人飲み、宴会、記念日、持ち帰りを全部入れる必要はありません。まずは一つの場面に絞り、その場面で選ぶ理由が伝わるかを確認します。

価格を載せる際は、料理や飲み物だけでなく、お通し・席料など注文例に必要な費用も確認します。映像の印象だけでなく、実際に利用したときの内容と合っていることが大切です。

リールと写真投稿で役割を分ける

一本のリールに、店の魅力と利用情報をすべて詰め込む必要もありません。今回の提案では、リールで過ごし方を伝え、それを補う写真投稿を組み合わせました。

リールで見せる場面 写真や複数枚の投稿で補う情報
集合前に、一杯と小皿を楽しむ 駅からの道順、入口の写真
仕事帰りに、一人で立ち寄る 最初の注文例、注文内容と税込総額
二人で温かい料理を囲む 二人分の組み合わせ、料理の量と価格

この分担なら、同じ撮影でも、動画用の調理風景だけでなく、入口や料理を並べた写真を残す意味が明確になります。

例えばゼロ次会のリールを見て興味を持った人が、プロフィールから道順の投稿を確認できる。そうした流れをつくります。投稿ごとに別々の話をするよりも、利用を考える人の疑問を順に解消する設計です。

ただし、リールと写真の本数に共通の正解があるわけではありません。必要な案内と、無理なく撮影・更新できる体制に合わせます。

季節の予定は仮置きし実際の反応で見直す

利用場面を整理すると、数か月先の投稿も考えやすくなります。例えば、12月は忘年会前の一杯、3月は歓送迎会前の立ち寄り、4月は新しい通勤経路で初めて入る店、という並べ方です。

ただし、これは企画の出発点であって、毎年そのまま使う固定表ではありません。店舗の場所や客層、提供メニュー、営業日によって、取り上げる場面は変わります。

投稿後は、場面ごとに次のことを振り返ります。

  • 冒頭で離脱が多いなら、その場面がすぐ伝わる言葉や映像になっているか。
  • 動画は見られているのに店舗案内への反応が少ないなら、場所や注文例の情報が足りているか。
  • 保存や共有があった投稿は、どんな場面を扱っていたか。次に同じ場面を扱うなら、何を残し、何を変えるか。

保存数やプロフィールへのアクセスは、投稿を改善する手がかりです。それだけで「店を思い出してもらえた」「来店が増えた」とまでは判断できません。来店時に投稿を見たという声があれば、数字とは分けて残します。

一度の反応だけで利用場面の良し悪しを決めず、冒頭の伝え方や案内の分かりやすさも含めて見直すことが大切です。

次の投稿はお客様の一場面から始める

カテゴリーエントリーポイントを活用するために、最初から難しい分析をする必要はありません。まず、最近来店したお客様を思い浮かべ、次の三つを書き出してみてください。

  • その人は、何をする前・何をした後に来店したのか。
  • そのとき、どんな食事や時間を求めていたのか。
  • 初めて来る人が同じ使い方をするなら、何が分かると選びやすいか。

そこから一つの場面を選び、冒頭の言葉、撮るもの、案内先を決めます。料理名だけで企画を探していたときとは、必要な写真や文章が変わるはずです。

インテグロースでは、飲食店の魅力と利用場面を整理し、Instagramの企画・撮影・編集・投稿・分析につなげています。「料理写真以外に何を発信すればよいか分からない」「投稿から店舗案内への流れを整えたい」ときは、ご相談ください。

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